絵が描けなくても、画像を作るAIがあればLINEスタンプは作れます。ここまでは、もう多くの人が知っているところです。ただ、その先の「で、1個売れたら自分の口座に何円入るのか」を、金額まで書いた記事は多くありません。
そこで今回は、LINEスタンプを運営しているLINEヤフー株式会社の利用規約・審査ガイドライン・ヘルプセンターを実際に開いて、数字だけを抜き出しました。書いてあるとおりの式に、実際の金額を入れて計算しています。推測で埋めた箇所には【推測】と書きました。
先に結論を書きます。120円のスタンプが23個売れて、銀行口座に届くのは約422円です。売上総額2,760円のうち、手元に残るのは15.3%でした。これは誰かの体感ではなく、公式ページに載っている料率をそのまま計算した数字です。
AIで作ったLINEスタンプは、1個売れて何円になるのか
120円のスタンプが1個売れたときのクリエイターの取り分は、44円40銭です。これはiPhoneのApp Store経由で、日本で買われた場合の金額になります。AndroidのGoogle Play経由、またはブラウザのLINE STORE経由なら42円です。販売価格の35%から37%、と覚えておくとおおよそ合います。
分配額の式は、公式に1行で書いてある
LINE Creators Marketの利用規約9.1には、取り分の計算式がそのまま載っています※1。2015年2月1日以降に審査を申請したスタンプには、こちらが適用されます。
分配額 =(売上総額 - プラットフォームごとの手数料)× 50%
つまり、お店の取り分を引いたあとの金額を、LINEと半分ずつ分けるという形です。ここで引かれる「プラットフォームごとの手数料」は、ヘルプセンターに料率が明記されています※2。
- Apple App Store:2026年1月1日以降に日本で購入された場合は売上総額の26%。日本以外での購入、および2025年12月31日までの日本での購入は30%
- Google Play:売上総額の30%
- LINE STORE:売上総額の30%
この26%という数字は、2026年に入ってから変わったところです。日本のApp Storeだけが下がったため、同じスタンプでも、買った人がiPhoneかAndroidかで自分の取り分が変わります。買い手を選ぶことはできないので、どちらでも成り立つ計画を立てておくほうが安全でしょう。
価格ごとの取り分を並べると、こうなる
販売価格は、アイテムごとに用意された選択肢から選ぶ仕組みです※3。代表的な価格で、1個あたりの分配額を計算しました。左がApp Store(日本・26%)、右がGoogle PlayとLINE STORE(30%)です。
- 120円 → 44.40円 / 42.00円
- 250円 → 92.50円 / 87.50円
- 370円 → 136.90円 / 129.50円
- 490円 → 181.30円 / 171.50円
もうひとつ、知っておくと混乱しない仕組みがあります。LINEアプリの中では「LINEコイン」で買われることがあり、そのときは換算レートが使われます。2024年12月1日以降に日本で購入されたぶんは、1コイン=2.13円です※3。2024年1月から11月までは2.16円でした。売上の画面に見慣れない端数が出るのは、このレートのためです。
LINEスタンプの最初の1,000円が、銀行に届くまでに減る理由
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。分配額がそのまま振り込まれるわけではありません。最初の1回は、とくにその影響が大きく出ます。公式に明記されている引かれものは、次の2つです。
引かれるもの1:源泉所得税10.21%
スタンプを売る行為は著作権の使用にあたるため、源泉所得税の対象になります。ヘルプセンターの「税金について」に税率が書かれています※4。日本に住む個人の場合、支払金額が100万円以下なら支払金額 × 10.21%。100万円を超えると、超えた部分が20.42%になり、102,100円が加算されます。日本に住む法人は対象外(0%)です。
引かれるもの2:銀行振込手数料495円
そしてもう1つ、日本国内の銀行に振り込んでもらうと、495円の振込手数料が差し引かれます※2。この495円は定額です。1万円を受け取るときも、1,000円を受け取るときも同じだけかかります。
実際に計算すると、2,760円が422円になる
送金を申請できるのは、分配額の合計が1,000円を超えてからです※2。120円のスタンプがApp Store(日本)で売れ続けた場合、1個44.40円なので、1,000円を超えるのは23個目でした。ここから最後まで計算します。
- 売れた数:23個 × 120円 = 売上総額 2,760円
- 分配額:44.40円 × 23 = 1,021.20円
- 源泉所得税:1,021.20円 × 10.21% = 104.26円
- 送金可能額:1,021.20 - 104.26 = 916.94円
- 振込手数料:-495円
- 銀行に届く金額:約421.94円
売上総額2,760円に対して、手元に残ったのは15.3%でした【計算】。これは制度がそうなっているという話であって、誰かが余計に取っているという話ではありません。定額の495円が、小さい金額のときだけ重く効くという、それだけのことです。
だから「貯めてから申請する」が理にかなう
495円が定額だという性質は、裏返すと味方にもなります。送金を申請しなければ、毎月の分配額はそのまま積み上がっていきます※2。たとえば分配額が1万1,689円まで貯まってから申請すると、源泉所得税を引いて振込手数料を引いても、手元に1万円が残る計算でした。必要なのは120円スタンプ264個、売上総額にして31,680円です【計算】。
いつ受け取るかの流れも決まっています。毎月末日で締めて、翌月の中旬ごろに分配額が確定します。確定後にマイページから申請すると、申請日から90日以内に登録した口座へ送金される仕組みです※2。申請してすぐ入るものではないので、生活費を当てにした計画とは相性がよくありません。
この感覚は、私自身がいちばん苦労したところでもあります。会社員だったころ、お金のもらい方をアルバイトの時給と同じように捉えていました。1時間そこにいれば、お金がもらえる。その後、完全歩合で働くようになって、売れた分だけが収入になる世界に初めて触れました。毎月決まった額が入ってくることが、どれだけありがたい仕組みの上に立っていたかを、そこで知りました。スタンプ1個44円という数字は、その世界の入口の数字です。
AIで作ったLINEスタンプは、そもそも売ってよいのか
審査ガイドラインを最後まで読みましたが、「AIで作ったものは禁止」という項目は1つもありませんでした【実測 2026年9月26日・スタンプ/絵文字/着せかえの3本とも】※5。ただし、AIに関わる条文は利用規約のほうに存在します。そこを知らずに出すと、あとから驚くことになります。
利用規約8.13:AI生成の表示は、LINE側の判断で付く
利用規約の8.13に、AIで作ったコンテンツの表示についての定めがあります※1。条文はこう書かれています。クリエイターが作ったコンテンツがAIによって生成された、または制作過程においてAIを使用して生成されたコンテンツである旨を、当社の裁量と判断により表示します。そして、表示する場面として3つが挙げられていました。
- クリエイターからの申告に基づく場合
- 当社がAI生成本コンテンツであると判断した場合
- 当社がAI生成本コンテンツの可能性があると判断した場合
3つ目に注目してください。「可能性がある」と判断された時点で、表示の対象になります。自分で申告するかどうかにかかわらず付く可能性がある、という書き方です。さらに同じ条文には、この表示をしたことでクリエイターに生じた損害について、LINEヤフー側は責任を負わないとも書かれています。
つまり、隠して出すという選択には意味がありません。AIを使ったなら申告して出す。それが前提の設計になっていると読むのが素直でしょう。なお、申告をどの画面で行うのかまでは、今回開いたページには書かれていませんでした【未確認】。実際に登録画面に入ったときに確かめてください。
使った画像生成AIの規約が、そのまま審査条件になる
もう1つ、AIで作る人が必ず当たる条文があります。スタンプ審査ガイドラインの5.1です※5。知的財産権を侵害するものに加えて、「使用されている素材がサードパーティの利用条件に違反しているもの」が却下の対象として並んでいます。
サードパーティとは、ここでは画像を作ったAIのサービスのことです。その画像生成AIの利用規約が商用利用を認めているかどうかが、そのままLINEの審査条件に直結します。無料プランでは商用利用を認めていないサービスもあり、有料プランに入って初めて認められる形も珍しくありません。どのサービスを選ぶかは、絵の好みより先に、規約の一行で決まるところがあります。
どのAIを使うか迷っている段階なら、各社の現行モデルと料金を並べた生成AIのモデル一覧2026年版を先に見ておくと、選び直しの手間が減ります。そのうえで、選んだサービスの規約ページを自分で開いてください。
規約を読むのは面倒な作業です。それでも先に読むだけの理由があります。私が新卒で営業を始めたとき、業界のことは何もわかっていませんでしたが、法律と基礎知識だけはきちんと勉強しました。理由は試験でも評価でもなく、違法なことを知らないまま進めて、相手に迷惑をかけたくなかったからです。スタンプの規約も同じ位置にあります。買ってくれた人と、絵を作った道具の提供元、その両方に迷惑をかけないための下調べです。
AIのLINEスタンプが審査で落ちる、3つの場所
審査ガイドラインを読むと、AIで量産する人がつまずきやすい項目がはっきりしています※5。落ちやすい順ではなく、AIという作り方そのものが引き寄せやすい項目を3つ選びました。どれも、作る前に知っていれば避けられます。
1. 会話に使えない絵(1.2・1.3・1.4)
AIに任せると、絵として整った1枚が出てきます。ところが審査で見られているのは絵の完成度ではありません。禁止項目には「会話、コミュニケーションに適していないもの」「視認性が悪いもの(例:横長な画像や、8頭身キャラクターの全身など)」「スタンプ全体のバランスを著しく欠いているもの(例:淡色ばかりのもの、単なる数字の羅列など)」が並んでいます。
制作ガイドラインのほうにも、推奨するスタンプとして「日常会話、コミュニケーションで使いやすいもの」「表情、メッセージ、イラストが分かりやすくシンプルなもの」が挙がっていました※6。逆にNGの例は「物体、景色など」です。風景や物を美しく描くほど、スタンプからは遠ざかります。
2. 文字の誤り(1.7・2.2)
「スタンプ内の文字に誤りがあるもの」が、明確に却下対象として書かれています。画像を作るAIに日本語の文字を描かせると、形の崩れた字や、存在しない字が混ざることがあります。文字は画像編集ソフトで後から重ねるほうが、審査の面でも読みやすさの面でも確実です。
テキスト欄の文字数も決まっています※6。スタンプタイトルは40文字以内、クリエイター名は50文字以内、説明文は160文字以内、コピーライトは50文字以内(英数字のみ)。全角文字は2文字として数えられ、絵文字は使えません。
3. 権利の所在と、複製(1.10・5.2・5.3)
「既にスタンプショップで販売または審査されているスタンプの複製」(1.10)、「権利の所在が明確でないもの(例:二次創作など)」(5.2)、「肖像権、パブリシティ権などを侵害しているもの(例:許諾を得ていない人物の顔、似顔絵など)」(5.3)。この3つは、似た絵を大量に出そうとするほど近づいていきます。
モラルの章には、23の項目が並んでいました。性的な表現を含むもの、肌の露出が多いもの、特定の個人や法人を誹謗・中傷するもの、政治的な表現を含むもの、宗教的要素の強いもの。「日常のトーク画面に出て、送った相手が困らないか」という一点で見直すと、ほとんどの項目は自然に避けられます。
なお、写真を素材に使うこと自体は認められています※3。審査のリクエスト時に同意事項へのチェックが必要で、タレントやキャラクター、ロゴを使う場合はライセンス証明書などの添付を求められます。
AIでLINEスタンプを量産して稼ぐときに、必ず当たる上限
AIの利点は速さですから、数を出す方向に寄るのは自然です。ただ、出せる数には公式の上限があります。審査リクエストは1日30回までです※3。登録できるアイテムの数そのものに制限はありませんが、申請の回数だけは1日30回で頭打ちになります。
1パッケージの個数は、申請後に変えられない
1パッケージあたりのスタンプの個数は、静止画・カスタム・BIGスタンプが8個/16個/24個/32個/40個から、アニメーション・メッセージ・ポップアップ・エフェクトが8個/16個/24個から選びます※3。ここで気をつけたいのは、審査をリクエストしたあとは個数を変更できないという点です※6。40個で申請してから8個に減らす、という逃げ道はありません。
画像の規格は、先にテンプレートを作っておく
規格は制作ガイドラインに全部書かれています※6。AIの出力をそのまま上げると、ほぼ確実にここで止まります。
- メイン画像:横240px × 縦240px。1MB以下
- スタンプ画像:横370px × 縦320px(最大)。1個あたり1MB以下
- トークルームタブ画像:横96px × 縦74px。1MB以下
- 形式はすべてPNG。背景は透過。解像度72dpi以上、カラーモードはRGB
- サイズは自動で縮小されるため、偶数の数値にする
- トリミングされた外枠と絵のあいだに、10pxほどの余白を取る
- まとめてアップロードするZIPは60MB以下
この10pxの余白は見落とされやすいところです。AIは画面いっぱいにキャラクターを描きがちなので、書き出し用のテンプレートを1枚作って、そこに流し込む手順にしておくと事故が減ります。こうした繰り返しの作業をまとめて自動化したい場合の考え方は、Claudeのスキルとはの記事に書きました。
登録作業はパソコンからしかできない
LINE Creators MarketはPCのみの対応です※3。推奨環境はWindowsがChromeとFirefoxの最新版、MacがChrome・Firefox・Safariの最新版。スマートフォンやタブレットからは、LINEスタンプメーカーというアプリを使う形になります。送金先の口座情報の登録も、PCから行うよう案内されていました。
販売を始めたあとの価格変更にも、待ち時間があります。いったん販売停止にしてから価格を変え、再開ボタンが有効になるまで3時間。さらに、価格を変えると再開から24時間は再変更ができません※3。値付けを試しながら探る動き方をするなら、この時間を計算に入れておいてください。
LINEスタンプ プレミアムは、稼ぐ側にとって得なのか
「LINEスタンプ プレミアム」は、加入したユーザーが対象スタンプを使い放題で使える定額サービスです※3。ここに参加すると、個別に売れなくても、使われた分だけ分配が発生します。個別販売との併用も認められています。ただし、その計算式が2026年7月1日から変わりました※2。
2026年7月1日から、単価が固定された
2026年6月30日までの売上については、プレミアムの売上総額の30%を、自分のスタンプを送ったユーザー数の割合で分ける形でした。7月1日からの売上は、こう変わっています。
サブスクリプションサービスユーザー数 × 当社所定の単価 × 送信割合。そして、その単価は12円(税別)と明記されています※2。売上の総額を分け合う形から、1人あたりの単価を基準にする形へ移りました。自分の取り分が全体の売れ行きに左右されにくくなった、と読めます【推測・確信度中】。実際にどちらが多くなるかは、送信割合しだいなので断定できません。
参加できるのは、販売開始から180日たってから
設定画面で「参加する」を選んでも、販売開始から180日以上が経過していないと参加できません※3。新規登録時は「参加する」が初期設定なので、忘れていても半年後に自動で対象になります。参加する場合は、販売エリアに日本・台湾・インドネシア・タイのいずれかを含める必要があります。
ひとつ注意点があります。2019年6月26日以降にLINEスタンプメーカーから審査リクエストしたスタンプは、プレミアムの分配額が0円になります※2。ただしバージョン4.0以上で、申請時に「有料ダウンロード/売上分配額あり」を選んだ場合は対象です。スマホのアプリだけで完結させるか、PCのCreators Marketから出すかで、ここが変わります。
もうひとつ、販売を停止すると「LINEスタンプ プレミアム」の参加設定が自動で「参加しない」に戻ります※3。価格を変えるために一時停止した場合は、再開後にもう一度「参加する」を選び直してください。
AIのLINEスタンプで稼ぐ前に、決めておきたい3つのこと
ここまでの数字と条文を踏まえて、始める前に手を止めて決めておくと後が楽になることを3つにまとめます。作り方ではなく、続け方の話です。
1. 1年でいくらを目指すのかを、個数に直す
手元に1万円を残すには、120円スタンプが264個必要でした。これを月あたりに割ると22個です。1パッケージ40個入りのスタンプが、月に22セット売れる状態をどう作るか。金額の目標を、売れる個数に置き換えた瞬間に、やることが具体化します。逆に、ここを金額のままにしておくと、何をどれだけ増やせばいいのかが最後まで見えません。
売れない状態が続く理由については、AI副業で稼げないのはなぜかという記事に、構造の側から5つ書いています。あわせて読むと、個数に落とす作業の意味がはっきりするはずです。
2. 使う画像生成AIを、規約で選ぶ
審査ガイドライン5.1がある以上、商用利用の可否は、絵柄の好みより優先されます。選んだサービスの利用規約を開き、商用利用について書かれた項目を自分の目で読んでください。無料プランと有料プランで扱いが違うことがあるため、プラン名まで確認するのが確実です。
プロンプトの精度を上げる工夫については、ChatGPTのカスタム指示のおすすめ例文の記事が使えます。同じキャラクターを崩さずに何枚も出す作業では、毎回の指示文を短くできるかどうかが効いてきます。
3. 確定申告の線を、最初に知っておく
会社にお勤めの方が副業で得た所得は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になります※7(国税庁)。スタンプの分配額から源泉所得税が引かれていても、それで申告が終わるわけではありません。引かれた税額は、申告のときに精算する形になります。
ここは個別の事情で結論が変わるところなので、金額が動き始めたら税理士や税務署に確認してください。この記事は税務の助言ではありません。
参考になる一冊
LINEスタンプの副業だけを一冊まるごと扱った本として、確実に稼げるLINEスタンプ副業入門(谷洋二郎/ソーテック社)があります。ただし出版は2014年12月で、この記事に書いた分配率・手数料・画面の名前は、当時とは変わっています。企画や売り方の考え方を読むための本として扱い、数字はこの記事で挙げた公式ページで確かめてください。
出典
- ※1 LINE Creators Market 利用規約(LINEヤフー株式会社)
- ※2 送金可能額はどのように計算されますか?(Creators Appヘルプセンター)
- ※3 販売(Creators Appヘルプセンター)
- ※4 税金について(Creators Appヘルプセンター)
- ※5 審査ガイドライン(LINE Creators Market)
- ※6 制作ガイドライン スタンプ(LINE Creators Market)
- ※7 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
※ 料率・手数料・計算式は2026年9月26日に各ページを開いて確認したものです。変更されることがあるため、実際に申請する前に公式ページで最新の内容を確かめてください。
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