記事一覧

副業の確定申告は必要か?AI副業の収入を4つの質問で確かめる手順

2026年10月5日月曜日

AI副業 確定申告 税金 副業

t f B! P L

AIで作ったものが、少しずつお金になってきた。note が売れた、Kindle の印税が入った、アフィリエイトの成果が確定した、AI動画の制作を1件だけ受けた——そこまで来ると、次に出てくる疑問はだいたい同じです。「これ、確定申告っているの?」

ネットで調べると「20万円まではいらない」という説明がすぐ出てきます。ただ、その20万円が何の20万円なのかまで書いてある記事は、意外と少ない。ここを取り違えると、いらないはずの申告をしたり、必要な申告を落としたりします。

この記事は、一般論をもう一度並べるためのものではありません。AI副業をやっている自分の場合はどうなるのかを、その場で確かめられる形にしました。数字と条件は、すべて国税庁のページを開いて確かめ、出典を文末にまとめてあります。

副業の確定申告は、いくらから必要になるのか

給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収されている会社員の場合、給与所得と退職所得を除いた各種の所得金額の合計額が20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります※1。20万円ちょうどは「超える」に当たらないため、この基準だけで見れば申告は不要です。ただし後述するとおり、20万円以下でも申告が必要になる人はいます。

国税庁のタックスアンサー「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」には、確定申告をしなければならない人が7つ並んでいます※1。副業をしている会社員に関係するのは、主に次の2つです。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人

ここで見落としやすいのが、「給与を1か所から」という前提のほうです。本業のほかにアルバイトをしていて給与が2か所から出ているなら、同じページの3番目が当てはまります。年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超えるかどうかで判定する形に変わるわけです※1。

20万円以下でも確定申告をしたほうがいいケース

No.1900 には「確定申告をすれば税金が還付される人は除きます」という但し書きが付いています※1。つまり20万円ルールは「しなくてよい」という免除であって、「してはいけない」という禁止ではありません。

AI副業で言えば、原稿料や講演料のように源泉徴収されて振り込まれている収入があるなら、確定申告をすると引かれすぎた分が戻ってくることもあります。医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)を使いたい年も同じで、確定申告をするならその中に副業の所得も含めて出すことになります。

なお、副業が赤字だった年に「赤字だから申告しない」と決める前に、所得の種類を確かめてください。雑所得の計算上生じた損失は、ほかの所得と損益通算ができません※3。事業所得かどうかで、赤字の扱いが変わってきます。

20万円は「売上」ではない|副業の所得と経費の出し方

20万円で判定するのは売上ではなく「所得」です。所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算します※3。振込額の合計が20万円を超えていても、経費を引いた後が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要という結論になる場合もあります。ここが最初の分かれ道です。

国税庁の「No.1500 雑所得」には、業務に係る雑所得の計算式がそのまま書かれています※3。

  • 総収入金額 − 必要経費 = 業務に係る雑所得

AI副業にあてはめると、こんな形になります。数字は説明用の例です。

  • note の売上:120,000円
  • Kindle の印税:85,000円
  • アフィリエイト成果:115,000円
  • 収入の合計:320,000円
  • 生成AIのサブスク(年額・業務分):48,000円
  • 画像生成サービスの利用料:36,000円
  • パソコンの購入費のうち業務分:55,000円
  • 通信費のうち業務分:22,000円
  • 経費の合計:161,000円
  • 所得:320,000円 − 161,000円 = 159,000円

この例なら所得は159,000円で、20万円を超えていません。売上だけを見て「32万円だから申告だ」と判断していたら、計算する必要のない申告書を作ることになっていたわけです。

複数の収入源は合算する

もうひとつ、AI副業でつまずきやすいのがここです。20万円は、副業1件ごとの数字ではありません。No.1900 の条文は「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額」と書いています※1。

note が8万円、Kindle が7万円、クラウドソーシングが9万円なら、それぞれは20万円以下でも合計は24万円です。さらに、暗号資産の売却益や、フリマアプリで転売した利益のように副業と別に見えるものも、同じ「各種の所得金額」に入ってきます※2。「副業ごとに20万円」と覚えていると、ここでずれます。

AI副業の経費は、どこまで入れられるのか

生成AIのサブスク代、画像生成の従量課金、パソコン、外付けディスク、通信費、参考書。どれも副業のために使った実感はあるものの、私用と兼用のものが多いのがAI副業の特徴です。

国税庁の「No.2210 必要経費の知識」は、この点をはっきり書いています。ひとつの支出が家事上と業務上の両方にかかわる費用を「家事関連費」と呼び、必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られる」とされています※6。

つまり、按分そのものは否定されていません。求められているのは「取引の記録などに基づいて」区分することと、区分した根拠を説明できることです。同じページには、必要経費にならないものも並んでいます※6。

  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費にならない
  • 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与を除く)は必要経費にならない
  • 所得税や住民税は必要経費にならない
  • 罰金、科料および過料などは必要経費にならない

また、必要経費になるのは「その年において債務の確定した金額」です※6。12月31日までに債務が成立し、給付をすべき原因となる事実が発生し、金額が合理的に算定できること。この3つをすべて満たすことが条件です。年をまたぐサブスクの前払いをどう扱うかで迷ったら、ここに戻ってください。

AI副業の収入は雑所得か、事業所得か

所得税法は所得を10種類に区分していて、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)は、原則として雑所得に位置づけられています※14。ただし、事業所得と認められるものは雑所得から除かれます。この線引きが、青色申告を使えるかどうかの分かれ目です。

判定の基準は、所得税基本通達の35-2に注として書かれています。原文はこうです※4。

  • 事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する
  • その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く)には、業務に係る雑所得に該当することに留意する

ここは読み方を整理しておきたい部分です。帳簿書類を保存していないなら、原則として業務に係る雑所得の扱いになる。逆に帳簿書類を保存していれば事業所得の側で検討できる、という構造です。ただし帳簿さえ付ければ必ず事業所得になる、という書き方にはなっていません。前段の「社会通念上事業と称するに至る程度」という判定が先に立っています。

ここは断定を避けるべきところです。同じ売上でも、続けている期間、かけている時間、設備や人手、相手先の数といった事情で結論が動きます。自分がどちらかを決めきれないときは、税務署か税理士に事実関係を伝えて確認してください。

雑所得だと、何が変わるのか

実務で効いてくる違いを並べます。

  • 損益通算ができない:雑所得の金額の計算上生じた損失は、ほかの所得の金額と損益通算ができません※3
  • 青色申告ができない:青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です※7
  • 書類の保存義務がある:前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は、現金預金取引等関係書類を保存する必要があります※3※9
  • 収支内訳書の添付:前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える人が確定申告書を提出する場合、総収入金額や必要経費の内容を記載した書類の添付が必要です※3
  • 現金主義の特例:前々年分の収入金額が300万円以下の人は、その年に収入した金額と支出した費用の額で計算できます。ただし確定申告書にこの特例を受ける旨を記載する必要があります※3

最後の現金主義の特例は、AI副業を始めたばかりの人にとって扱いやすい規定です。売上の計上時期をめぐる判断が減るぶん、帳簿の負担が軽くなります。

確定申告がいらない副業でも、住民税の申告は残る

所得税の20万円ルールは、住民税には当てはまりません。市民税・県民税には所得税のような申告の省略範囲がなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります※12。副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない年も、お住まいの自治体への住民税の申告は残ります。

名古屋市の公式サイトには、会社員が原稿料10万円を受け取った例で、同じ趣旨の回答が載っています。「市民税・県民税には、所得税のような申告の省略範囲はなく、原則としてすべての所得を申告する必要があります」「したがって、給与所得者で給与所得以外の所得が20万円以下の場合にも、市民税・県民税の申告を行う必要があります」という書き方です※12。

いっぽうで、同じページにはこうも書かれています。所得税の確定申告を行う場合には、改めて市民税・県民税の申告を行う必要はありません※12。確定申告をした年は、そちらが住民税の申告を兼ねる形です。

申告書の名称や提出先、様式は自治体ごとに違います。「(お住まいの市区町村名) 市民税 県民税 申告」で検索して、自治体の公式ページを開いて確かめてください。国税庁のページには住民税の手続きは載っていません。

副業で青色申告を選べるのは、どんな人か

青色申告をすることができるのは、不動産所得、事業所得、山林所得のある人です※7。副業の所得が業務に係る雑所得にとどまる場合、青色申告特別控除は使えません。「副業を始めたらまず青色申告」という順番ではなく、事業所得に当たるかどうかが先に来ます。

青色申告特別控除の金額は3段階です※8。

  • 55万円:不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳し、貸借対照表・損益計算書等を確定申告書に添付して、翌年3月15日の期限までに提出すること
  • 65万円:上記55万円の要件に加えて、仕訳帳と総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電子データで保存するか、確定申告書・貸借対照表・損益計算書等を期限までに e-Tax で送信すること
  • 10万円:55万円・65万円の要件に当てはまらない青色申告者

申請の期限も押さえておきたいところです。新たに青色申告の申請をする人は、青色申告をしようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄税務署長に提出します。その年の1月16日以後に新規開業した場合は、業務を開始した日から2か月以内です※7。確定申告の時期に思い立っても、その年分には間に合いません。

複式簿記という言葉で身構える必要はありません。帳簿の付け方そのものは会計ソフトが引き受けてくれます。何を経費として入れてよいかの判断だけは自分で持っておきたいので、手元に1冊置くならフリーランス&個人事業主のための確定申告 改訂第20版のような、その年分に合わせて改訂されている実務書が向いています。

副業の確定申告までにやること|時期と順番

所得税の確定申告の期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までです。申告と納付の期限は、原則として翌年3月15日です※5。1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得を計算して、翌年のこの期間に申告する流れになります。

順番にすると、こうなります。

  • ① 所得の種類を決める:業務に係る雑所得か、事業所得か(通達35-2の注を読む)※4
  • ② 帳簿を用意する:事業所得なら記帳・帳簿等の保存制度の対象。所得税の申告が必要ない人も対象に含まれます※9
  • ③ 青色申告を使うなら申請する:その年の3月15日まで、または開業から2か月以内※7
  • ④ 1年分を集計する:収入と経費。家事関連費は区分できる金額まで※6
  • ⑤ 翌年2月16日〜3月15日に申告する※5
  • ⑥ 住民税を確かめる:確定申告をしたなら別途の申告は不要。しなかったなら自治体へ※12

開業届の提出時期は、案内ページで確かめる

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)について、国税庁の手続案内ページ「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」には、提出時期がこう書かれています。「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。」※10

ウェブ上の解説では「開業から1か月以内」という説明を見かけることが多いところです。【推測】表記が食い違って見えるのは、根拠になる条文の書き方と、国税庁の手続案内ページの書き方が別々に更新されているためだと見ています(確信度:中)。どちらが自分に当てはまるかは、提出前に上記の案内ページを開いて、そのときの記載を直接確かめてください。

帳簿と書類は何年とっておくのか

事業所得、不動産所得または山林所得を生ずべき業務を行うすべての人が、記帳・帳簿等の保存制度の対象です。所得税及び復興特別所得税の申告が必要ない人も対象に含まれます※9。保存期間は次のとおりです※9。

  • 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿):7年
  • 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿):5年
  • 決算に関して作成した棚卸表その他の書類:5年
  • 業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類:5年
  • 前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人の現金預金取引等関係書類:5年

売上が伸びてきたら、消費税の線も見ておく

消費税には、基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年)における課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されるしくみがあります※11。副業を始めたばかりの段階では、ここに届くことはまずありません。

ただし例外が用意されています。適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません※11。取引先から求められて登録した人は、売上の大小にかかわらず消費税の申告が必要になります。登録するかどうかを決める前に、このページを一度開いておく価値があります。

4つの質問で、自分の副業の場合を確かめる

ここまでの内容を、順番に答えるだけで結論が出る形にまとめました。メモ帳を開いて、上から答えてみてください。所要は5分ほどです。金額の線引きは国税庁のページに沿っていますが、最終的な当てはめは個別事情で変わります。

質問1 給与はどこから、いくら出ていますか

  • 給与が1か所だけ、年間2,000万円以下、全部が源泉徴収されている → 20万円の判定に進みます※1
  • 給与が2か所以上ある → 年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額の合計で判定します※1
  • 給与がない(専業・学生・主婦/主夫など) → 20万円の話ではなく、所得金額の合計額が所得控除の合計額を超えるかどうかで判定します※5。基礎控除の額は合計所得金額と年分で変わるので、自分の年分の額を国税庁のページで確かめてください※13

質問2 副業の「所得」はいくらですか

売上ではなく、総収入金額から必要経費を引いた金額を出します※3。note、Kindle、アフィリエイト、受託、暗号資産、フリマの利益をすべて足したうえで、経費を引いてください。

  • 合計が20万円以下 → 所得税の確定申告は原則として不要。ただし住民税の申告は残ります※12
  • 合計が20万円を超える → 所得税の確定申告が必要です※1

質問3 帳簿書類を保存していますか

  • 保存していない → 原則として業務に係る雑所得の扱いになります(収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除く)※4
  • 保存している → 事業所得に当たるかを、活動が社会通念上事業と称するに至る程度かどうかで判定します※4

質問4 収入の中身は何ですか

国税庁は、給与所得者の副収入のうち雑所得に該当するものの例を挙げています※2。

  • インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得
  • 自家用車などの資産の貸付けによる所得
  • ベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得
  • 暗号資産の売却等による所得
  • 民泊による所得
  • NFTを組成して第三者に譲渡したことによる所得

同じページには例外も書かれています。生活の用に供している資産(古着や家財など)の売却による所得は非課税で、この所得については確定申告が不要です。損失は生じていないものとみなされます※2。着なくなった服をフリマアプリで売った分と、仕入れて売った分を、同じ袋に入れないでください。

副業の確定申告でつまずきやすい、AI特有の5つの点

ここからは、AIを使った副業に特有の論点です。一般的な副業の解説ではあまり触れられないものの、実際に手を動かすと毎回ひっかかります。結論の当てはめは事実関係で変わるため、迷ったら税務署か税理士に確認してください。

① サブスク代は「按分した根拠」までセットで残す

生成AIのサブスクは、仕事にも私用にも同じアカウントで使えてしまいます。だからこそ、国税庁が求めている「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額」という書き方が効いてきます※6。

実務的には、按分の割合そのものより、割合を出した根拠を残しておくほうが後で役に立ちます。月ごとの利用回数のうち業務分がいくつか、といったメモで構いません。金額だけを帳簿に書いて根拠を残さないと、あとから説明できなくなります。

② 「売上が立った日」と「入金された日」は別

アフィリエイトの成果確定から入金までは、1〜2か月あくのが普通です。Kindle の印税も同様に遅れます。必要経費が「その年において債務の確定した金額」で決まるのと同じで、収入にも計上時期の考え方があります※6。

ここで効いてくるのが、前述の現金主義の特例です。前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円以下なら、その年に収入した金額と支出した費用の額で計算できます。ただし確定申告書にこの特例を受ける旨を記載する必要があります※3。

③ 暗号資産の利益は、副業の所得と合算される

暗号資産の売却等による所得は雑所得に該当します※2。副業の所得とは別枠に見えても、20万円の判定では「各種の所得金額の合計額」として一緒に数えます※1。AI副業の所得が15万円、暗号資産の利益が8万円なら、合計23万円です。

④ 生成物の権利関係は、税金とは別の話として残る

AIで作った画像や文章を販売するとき、税金の扱いとは別に、利用規約と権利関係の確認が要ります。ここは国税庁のページには書かれていません。【推測】税務上の所得区分と、商用利用の可否は別々の判断になるため、片方を確かめても、もう片方は残ったままです(確信度:高)。使っているサービスの規約を、販売を始める前に読んでおいてください。

⑤ 帳簿を付けないという選択は、選択として成立する

副業の規模が小さいうちは、帳簿を付けずに業務に係る雑所得として申告する形も、制度上ありえます。通達35-2の注は、帳簿書類の保存がない場合の扱いを定めているだけで、保存しないこと自体を禁じてはいません※4。

ただし、そのぶん青色申告特別控除は使えず※7、損益通算もできません※3。そして前々年分の収入金額が300万円を超えると、現金預金取引等関係書類の保存義務が発生します※3。付けないという判断をするなら、何を手放しているかを分かったうえで選びたいところです。

私が新卒のころ、法律だけは先に読んだ理由

営業をしていたころ、商品知識より先に、業法だけは自分で条文を読みました。試験があったわけでも、上司に言われたわけでもありません。知らずに違法なことを進めたら、いちばん迷惑をかけたくない相手に迷惑がかかる——動機はそれだけでした。

いま思うと、あれは正解でした。知識がないことと、勉強していないことは別です。前者は時間で埋まりますが、後者を放っておくと、自分ではなく相手が損をします。

税金も同じ構造をしています。細部まで覚える必要はまったくありません。ただ、自分の売上がどの所得区分に入るのか、その1点だけは、解説記事ではなく国税庁のページで一度確かめておくと、あとの判断がぶれなくなります。この記事に出典のURLを全部つけたのは、そのためです。

副業の確定申告について、この記事の結論

要点を5行にまとめます。

  • 給与が1か所の会社員なら、給与所得・退職所得以外の所得の合計額が20万円を超えたときに所得税の確定申告が必要です※1
  • 20万円で見るのは売上ではなく、総収入金額から必要経費を引いた所得です※3
  • 副業が複数あっても、20万円は合計で判定します※1
  • 所得税の確定申告が不要な年も、住民税の申告は残ります※12
  • 帳簿書類を保存していない場合、原則として業務に係る雑所得の扱いになります※4

この記事で挙げた金額と条件は、記事を書いた時点で国税庁のページを開いて確かめたものです。税制は毎年変わりますし、同じ条文でも、事業の規模・継続性・ほかの所得との関係で結論は動きます。「これに当てはまるから必ず不要」と読まないでください。

個別の判断は、所轄の税務署か税理士にご確認ください。税務署の相談窓口は無料で、確定申告の時期以外も対応しています。自分の状況を説明したうえで確かめるのが、いちばん確実で、いちばん早い方法です。

この記事と一緒に読まれているもの

出典

QooQ